ちまたに溢れる「●●整体」「カイロプラクティック」の看板…。
しかし、このような業者が国で認められた国家資格を有しない 、いわゆる「無資格業者」だということはあまり知られていません。
「マッサージ」は「はり」や「灸」と並ぶ国家資格で、3年以上の期間、文部科学大臣あるいは厚生労働大臣の認定した養成施設において、解剖学や生理学などの1,500時間以上の学科、および1,300時間程度の実技を学び、そのうえで国が実施する国家試験を合格した者に対してのみ「あんま・マッサージ・指圧師」「鍼灸師」の資格が与えられます。整骨院等の「柔道整復師」もほぼ同様です。
ですから「マッサージ」「指圧」の看板は、国家資格があり都道府県知事の認可がないと出すことができません。もし資格のない業者がこのような看板を出すと「あん摩マッサージ師法」により罰せられるのです。
しかし、このような正規の国家資格を有しない多くの業者が「ボディケア」「ソフト整体」「クイックトリートメント」など、マッサージを連想させるようなフレーズを用いて無認可で開業しているのが現状なのです。
「整体」や「カイロ」に資格があると思っている一般の方も多くいらっしゃるようです。一体、このような事が法治国家であるはずの我が国において認められてよいのでしょうか?
「資格なんかなくても上手ければそれでいい」
「からだがラクになれば資格なんて関係ない」
...
確かにそのような考えもあるでしょう。実際、資格がなくとも上手な方はたくさんいます。
しかし、例えば髪の毛を切るのが上手だからといって、それだけで美容室や理容室を開業できるでしょうか?当然、所定の専門学校に通学し、資格をとらなくては開業できません。
まして人の身体、しかも疲れたり弱っていたりするデリケートな体に直接触れて治療行為をする以上、これらの無資格業者を野放しにすることはやはり許されるべきではないと思うのです。
事実「骨盤矯正」「脊椎矯正」と称して患者の体を無理に捻る行為をおこない、その結果としてシビレや痛みなどの後遺症に悩まされ訴訟問題になっているケースも後を絶たないのです。
国家資格を取得するには3年間という長い期間と400万円以上の学費、年に1度行われる国家試験をパスしなければいけません。その時間や費用を惜しんでかかる分を開業資金に充て、わずか数週間の研修を経ただけで開業する方も多くいます。
ですが、人の身体に触れて治療する行為を生業としようと決意したならば、それに則した正規の資格をまず取得しようと努力するのが当然の考えだと思うのです。
私共全日本鍼灸マッサージ師会では、このような無資格業者の取り締まり強化、誇大広告の摘発を警察、そして行政に強く訴えていく運動を展開していく所存です。